修飾語には法則がある
修飾語をたくさんならべて、一文に書き上げることは多くの人が経験すると思います。
修飾語は、並列で記述されることが多いわけですが、読みやすく、伝わりやすくする法則があります。
それは“修飾語は文字数の多い順に並べる法則”です。
重要度は重要ではない修飾語
<例文1> 浦山は口ひげを生やした、童顔の、しゃべり出すと止まらない、プロの作家の男である。
これを多くの人は、修飾する内容を意識しないで並列させて書くか、重要度の高い順番に並べて書くかのどちらかで執筆しがちです。
ためしに重要度の高い順番に並べて書いてみましょう。
<例文2> 浦山はプロの作家で、童顔の、しゃべり出すと止まらない、口ひげを生やした男である。
例文2では、プロの作家という重要な修飾語は印象に残りますが、「童顔の」「しゃべり出すと止まらない」「口ひげを生やした」という修飾語は、書き手の印象を並べただけに過ぎません。
つまり情報でありながら、読者の印象には刻まれにくい修飾語となってしまっているのです。
単文にするとかえって読みにくくなる
私が前回の【文章ノウハウVol.1】でお伝えした。単文で書く執筆術を駆使してみましょぅ。
<例文3>浦山はプロの作家である。浦山は童顔である。浦山はしゃべり出すと止まらない。浦山は口ひげを生やしている。
浦山は(主語)+プロの(修飾語)作家である(述語)。までは読んでもらえたとして、次に続く、浦山は(主語)+童顔である。(述語)に引き続き、浦山は……。浦山は……。
と主語が続く文章は、うるさくて読みにくくなってしまいます。
やはり修飾語を一文の中に挿入した文章にまとめる必要があります。
種明かしをしてしまえば、修飾語の並べ方は、重要度で配列するよりも、文字数が多いものを前に置いて書く方が読みやすく、伝わりやすい文章になるのです。
どんな文章にも共通する読みやすさの法則
<例文4> 浦山はしゃべり出すと止まらない、口ひげを生やした、プロの作家で、童顔の男である。
文字数を数えてみましょう。
浦山は+しゃべり出すと止まらない(12文字)、口ひげを生やした(8文字)プロの作家(5文字)で、童顔の男(4文字)である。
単純に文字数で並べ直しただけです。
例文1~3よりも、例文4は、読みやすく、理解しやすい文章になっています。
別の文章で確かめてみましょう。
<例文5> スーパーカブは、ホンダ社の、世界一多くの台数が生産されている、昭和33年に誕生したバイクである。
<例文6> スーパーカブは、世界一多くの台数が生産されている、昭和33年に誕生した、ホンダ社のバイクである。
例文6は“修飾語は文字数の多い順に並べるの法則”で書き直したものです。
文章を書くときに、修飾語が並列に筆記されるシーンは少なくありません。
そのときには“修飾語は文字数の多い順に並べるの法則”を意識して、いったん書いた文章であっても、推敲するときに、この法則に従って並べ替えてみてください。
あなたの文章は、読みやすく分かりやすいものになるはずです。
まとめ
修飾語は、重要度の順番に並べて書かない。
修飾語は、文字数の多いものから順番に並べて書く。
このテクニックを使うと、文章は読みやすく、分かりやすくなる。
浦山明俊