文章ノウハウVol.4】読んだ直後から文章が上達する プロの小説家が伝授する作文術「複合動詞」

文章ノウハウVol.4】読んだ直後から文章が上達する プロの小説家が伝授する作文術「複合動詞」

動詞と動詞を組み合わせてみよう

ぶっ飛ばすと言うことがあります。

これは「ぶつ」+「飛ばす」という2つの動詞が組み合わせられてできている言葉です。

蹴っ飛ばすは「蹴る」+「飛ばす」です。

殴り飛ばすは「殴る」+「飛ばす」です。

これを複合動詞と呼びます。

複合動詞を使いこなせるようになると、あなたの文章の表現はするどくなります。

 

複合動詞の使い方

 

さっそく具体的な使い方をみていきましょう。

<文例1> 「信長は、そこで秀吉を見た」

小説の文中に当たり前に描かれる一文です。

 

では次のように書かれていたらどうでしょうか。

<文例2>「信長は、そこで秀吉を見つめた」

 

「見る」+「つめる」の複合動詞です。

 

次の例文はどうでしょうか。

<文例3>「信長は、そこで秀吉を見おろした」

 

「見る」+「おろす」の複合動詞です。

 

もっと行きますよ。

 

「見くだした」

「見惚れた」

「見やった」

「見逃した」

「見返した」

 

どれも「見る」+動詞の複合動詞です。

 

複合動詞は表現をシャープにする

 

私たちは、文章を書くときに動詞単体で文章を結びがちです。

とくに小説などではよく繰り返される言葉として「言う」があります。

 

<文例4>

道彦は香織に言った。

「先週の夜勤のときに君はどこにいたんだ」

香織は道彦に言った。

「薬局よ」

また道彦は香織に言った。

「どうして薬局にいたんだ」

「院内処方の薬歴簿に、渡辺さんの症状に適していない薬がないか調べていたの」

と香織は道彦に言った。

 

会話のシーンを執筆するときに「言った」「言った」と書き続けるとシーンは平坦になり、しつこく感じて読みにくくなります。

 

複合動詞を使うと、シーンは詳細になり、さらには「言う」の内容を限定できます。

 

<文例5>

道彦は香織に言い寄った。

「先週の夜勤のときに君はどこにいたんだ」

香織は道彦に言い放った。

「薬局よ」

また道彦は香織に言い寄った。

「どうして薬局にいたんだ」

「院内処方の薬歴簿に、渡辺さんの症状に……。そうよ、渡辺さんに適している薬が他にないかを調べていたの」

と香織は道彦に言いよどんだ。

 

どうやら、道彦が怒っているかイライラしていて、香織は引け目を感じているか何かを隠そうとしている様子の描写に変わりました。

 

動詞は行為(状態)を示すわけですが、動詞と動詞を組み合わせた複合動詞にすると、意味がより深く、鋭敏になるのです。

 

複合動詞を使うと、表現をより鋭敏に、よりイメージを限定して描くことができます。

 

まとめ

 

複合動詞は「動詞+動詞」で構成される。

複合動詞で書くと、シーンを限定して描くことができる。

複合動詞で書くと、表現が豊かになる。

「言う」+「動詞」で書き直した表現を「別の動詞」+「動詞」あるいは動詞単体で表現できないかを校正すると、文章全体の表現が豊かになる

 

  浦山明俊

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