第48回衆議院議員総選挙(2017年10月22日投開票)は、小池百合子劇場でした。
都知事の職にありながら、国政の政党である希望の党を立ち上げて、かなりの議席を得るかもしれないと、自民党をも戦々恐々とさせていました。
開票結果は、希望の党は小選挙区で18議席、比例代表で32議席の50議席を獲得しますが、野党第一党は54議席を獲得した立憲民主党でした。
小池さんが知事を務める東京都内では希望の党は小選挙区で1勝23敗という惨敗ぶりでした。
希望の党が結党された当初は、小池旋風と呼ばれる社会的ムードもあって、野党第一党は確実だと言われていました。もしかしたら自民党を破って、政権を奪うのではないかという声までありました。
希望の党の、いや小池百合子さん個人の惨敗は、どうして起きたのか。
民進党と希望の党の合流で、一大勢力となるチャンスの時期に「民進党の全員を受け入れるわけではない」という主旨として、
「排除します」
と発言したあたりがターニングポイントであったと思われます。
政治理念が異なる民進党議員は受け入れないと言いたいのなら、
「ご遠慮願います」
と、遠回しな言い方をすれば、小池百合子さんのイメージダウンにはつながらなかったでしょう。
確認しなければなりませんが、おそらくは記者からの
「政治理念が違う民進党議員は、排除するということですか」
との質問に、「そうです」の意味での即答として「排除します」と答えてしまったのでしょう。
これは、取材記者がよく使うテクニックで「引っかけ質問」というやつです。
引き出したい言葉を、質問として投げかけるのです。
たった一言です。定例記者会見での、たった一言で小池百合子さんは国民からのSympathy(情緒的共感)を失ったのです。
元テレビキャスターである小池百合子さんにして、この失態です。
組織のトップが、リーダーがどのようにマスコミに対応するべきなのか。
それを考えさせられるクライシスでした。