5W1Hは、本当に基本なのか

5W1Hは記事を書くときの基本だといわれています。

おさらいをしておくと、いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)という6つの要素から構成されています。

文章を書くときにも5W1Hを大切にしろと学校では教わったはずです。

 

5W1Hの本質とは

 

ある文章タイプにおいては正しく、ある文章タイプにおいては間違いです。

 

まず新聞記事などは5W1Hで書かれています。

 

ビジネス文書も5W1Hを基本に書くべきでしょう。

 

口頭で状況や事態を説明するときにも5W1Hは応用されます。

 

新聞やNHKで使われる5W1H

 

まずは5W1Hの文章を読んでみましょう。

 

<文例1>「昨夜、午前0時27分、東京都立川市にある立川中央病院で、俳優の三橋敏男さんが心不全のため亡くなりました。87歳でした。三橋さんは、白澤明監督の代表作『七人の浪人』に出演し、1979年にはカンヌ映画祭ではグランプリを、1980年にはベネチア国際映画祭で金獅子賞を白澤監督とともに受賞するなど、世界的に活躍をした俳優として知られていました。一昨年に肝臓にガンが見つかってから、入退院を繰り返し、闘病生活を送っていました。葬儀は……」

 

よく見かける記事です。よく読み上げられるニュース原稿です。

そして5W1Hのルールに従っています。

 

5W1Hを崩してしまえ

 

次の文章は、どうでしょうか。

 

<文例2>「訃報です。三橋敏男さん。昨夜、亡くなりました。いまこの訃報が世界中に伝えられています。それほどの大物俳優でした。87歳、闘病中でした。死因は心不全。ですが、2年前には肝臓にガンが見つかっていたんですね。立川中央病院に入院していました。思い出します『七人の浪人』。かっこいい時代劇でした。背が高くて、剣を素早く振り下ろして敵を斬る。白澤明監督の代表作です。世界の三橋、世界の白澤。年上の白澤監督よりも、若くしてこの世を去ってしまいました。カンヌ映画祭でグランプリ。これが1979年。ベネチア国際映画祭で金獅子賞。これが1980年。その後も2010年代まで見事な芝居を見せてくれました。葬儀は密葬だと発表されています」

 

声が聞こえてくるような文章だと思いませんか。

そして筆者の感情も乗って描かれていると思いませんか。

 

あなたが書きたいと思うのは、どちらのタイプの文章でしょうか。

 

じつは<文例2>にも、5W1Hのすべてが述べられているのです。

違うのは、その順番です。

いつ   →  昨夜

どこで  →  立川中央病院で

誰が   →  三橋敏男が

何を   →  人生を

どうした →  終えた(亡くなった)

どのように → ガンの闘病中に、心不全で

 

 

結論から書き始めよう

 

結論から文章は始まっています。、

「三橋敏男さんが亡くなりました」

 

工夫をしたのは、

「訃報です」

と、読者や視聴者を引きつける一文から始めたことです。

 

5W1Hは、「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように」の順番で書くと、伝達ミスの起こりにくい原稿となります。

 

言い換えれば、初心者でも、5W1Hの順番を守って書けば、誰かに叱られないで済む原稿やビジネス文書や、報告書が書けるということです。

 

5つのWと1つのHの順番を入れ替えても、伝達要件は満たすことができます。

 

結論(だれが/どのように)(なにを/どのように)から入り、読者を引きつけるであろう事項で作文していく。

 

筆者の考える重要事項の順番でも構いませんし、語りたい順番でも構いません。

 

欲をいえば、読者が魅了される順番に配列することです。

 

やんちゃ作家形式は魅力的だ

 

私は、文例1のような文章を「新聞形式の5W1H」と呼び、文例2のような文章を「やんちゃ作家形式の5W1H」と呼んでいます。

 

やんちゃ作家形式を身につけたいのであれば、トレーニング方法があります。

 

簡単です。

 

新聞記事をよく読んで5W1Hをまず理解します。

その5W1Hの文章を、自分の優先順位で、ときに私感を含ませながら、書き直してみるのです。

 

これはフリーライターにとっても、ブロガーにとっても、もちろん作家にとっても、とてもよいトレーニングになります。

 

まとめ

 

5W1Hは、情報伝達の基本となる文章の書き方である

5W1Hは、伝達のミスが起こりにくい

5W1Hは、無味乾燥な印象を与える

5W1Hは、自分なりにアレンジして書くことで、文体を磨くトレーニングになる

浦山明俊